月曜日, 12月 2, 2024
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キリンの独自素材「熟成ホップ」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料 3週間の継続飲用でメンタルヘルスの改善効果を確認!

~キリン・三井不動産が、千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」で100名を対象に実証実験を実施~

 キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典、以下キリン)は、三井不動産株式会社(社長 菰田正信、以下三井不動産)と共同で「柏の葉スマートシティ」(千葉県柏市)の住民や通勤者100名を対象に、キリンの独自素材「熟成ホップ」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料を用いた実証研究を行い、メンタルヘルスに対する改善効果を確認しました。

 この研究成果は、2021年11月5日(金)に国際科学雑誌Nursing and Health Sciences誌に掲載されました※1。
※1タイトル:Effect of non-alcoholic beer containing matured hop bitter acids on mood states in healthy adults: A single-arm pilot study
著者:福田隆文、秋山栞里、高橋和之、 岩立康男、阿野泰久
雑誌名:Nursing & Health Sciences
DOI 番号:10.1111/nhs.12898

 今回の研究成果を踏まえ、「熟成ホップ」を活用することで「柏の葉スマートシティ」をはじめとした日本全国のお客様の心の健康に貢献し、心豊かな社会の実現を目指します。
 

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●研究の背景
 近年、高齢者の認知症予防や認知機能改善に加え、幅広い年代での記憶力や集中力、メンタルヘルスなどの「脳や心の健康」への関心が高まっています。特に、新型コロナウイルス感染症の影響で生活様式が大きく変化したことによりメンタルヘルスの不調を訴える人が増加し、大きな社会課題となっています。
 キリンでは、食と「脳の健康」に関するさまざまな研究を行っています。2017年には、東京大学、学習院大学との共同研究で、ホップ由来のビール苦味成分であるイソα酸※2が、アルツハイマー病予防に効果があることを世界で初めて※3発見しました。さらに、ビール以外の多様な食品に展開が可能な、苦味を抑えた独自素材「熟成ホップ」を開発し、その中の成分である「熟成ホップ」由来のビール苦味成分が脳腸相関の活性化により、認知機能 改善効果、アルツハイマー病予防効果、および抗抑うつ効果を示すことを非臨床試験で解明しました。
 2020年には順天堂大学医学部との共同研究で、物忘れの自覚症状がある中高齢者対象の臨床試験を行い、「熟成ホップ」が認知機能とメンタルヘルスを改善することを確認しました。
 一方、中高齢者以外の幅広い年代の人に対する「熟成ホップ」の効果は明らかではありませんでした。
※2 ビールの醸造過程でホップから生成される。ホップはビールの原料として1000年以上にわたり使用され、薬用植物としても知られる。
※3タイトル:Iso-α-acids, Bitter Components of Beer, Prevent Inflammation and Cognitive Decline Induced in a Mouse Model of Alzheimer's Disease.
著者:阿野泰久、堂畑厚志、谷口慈将、星朱香、内田和幸、高島明彦、中山裕之
雑誌名:Journal of Biological Chemistry
DOI 番号:10.1074/jbc.M116.763813.

●研究の概要
 2020年8月から9月にかけて、「柏の葉スマートシティ」の住民・通勤者を対象に、「熟成ホップ」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料を3週間摂取することによる、メンタルヘルスへの作用を検証しました。研究には、23歳~72歳(平均年齢44歳)の男女100名が参加しました。
 本研究の結果、「熟成ホップ」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料の摂取前と比較して、摂取3週間後には気分の落ち込みや疲労感、不安感、活気が改善することが明らかになりました。また、労働パフォーマンスも摂取前より改善することも明らかになり、メンタルヘルスの改善がパフォーマンスの向上をもたらすことが示唆されました。
 さらに本研究の結果により、「熟成ホップ」のメンタルヘルスへの効果は中高齢者に限定されたものではなく、幅広い年代に対して有効であることが示唆されました。

<研究方法>
 23歳~72歳の男女(100名)を対象に研究を実施しました。「熟成ホップ」を摂取しない期間(1週間)と摂取する期間(3週間)を設定し、1週間ごとにメンタルヘルスの状態を調査票(POMS2※4)によって評価しました。また、労働のパフォーマンスを熟成ホップ摂取開始前と摂取3週間後に調査票(WHO-HPQ※5)によって
 評価しました。摂取前と摂取後を比較することで、「熟成ホップ」の有効性を検討しました。※4 最近1週間の気分状態を評価する調査票
※5 世界保健機関(WHO)が作成した健康と労働パフォーマンスに関する調査票

<研究結果>
 メンタルヘルスの評価項目である気分の落ち込み、疲労感、不安感、活気・活力が、「熟成ホップ」摂取前と比較して、摂取後に統計的に有意に改善しました(図1)。また、労働パフォーマンスについても、「熟成ホップ」非摂取期間と比較して、摂取後に統計的に有意に改善しました(図2)。

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●今後の展開
 今後は、「熟成ホップ」をノンアルコール・ビールテイスト飲料やサプリメントなどに配合し、認知機能やメンタルヘルスのエビデンスに基づいた商品としてお客様に提供し、さまざまな生活シーンで活用いただくことで、「脳や心の健康」のサポートが可能な生活習慣実現に向けた取り組みを進めます。
 

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●「キリン脳研究」について
 日本の平均寿命は伸び続けており、4人に1人が高齢者※6の「超高齢社会」となっています。
 2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症になる※7と推計され、健康寿命の延伸は社会課題となっています。キリングループでは、日々の明るい気持ちや悩みは脳の働きと密接に結びついていることに着目し、ヘルスサイエンスを中心とした「脳の健康」を守り新たなよろこびを生み出す「キリン脳研究」を進めています。
 「キリン脳研究」は、キリンならではの発想と技術で脳の健康を守ることを通じ、社会課題の解決に向けて貢献するとともに、一人ひとりが社会の中で、自信や希望、そして気持ちのゆとりを感じながら暮らせるこころ豊かな社会の実現を目指していきます。
※6 内閣府 令和2年版高齢社会白書
※7 厚生労働科学研究費補助金 厚生労働科学特別研究事業. 日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究. 平成26年度総括・分担研究報告書. 2015.

 キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(以下KV2027)」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※8先進企業になる」ことを目指しています。その実現に向けて、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、キリングループが長年培ってきた高度な「発酵・バイオ」の技術をベースにして、人々の健康に貢献する「ヘルスサイエンス領域」(ヘルスサイエンス事業)の立ち上げ、育成を進めています。当社は、食を中心とした商品やサービスを通じて、「脳の健康」サポートに貢献することを目指します。
※8 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造。

 

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